量子コンピューターの本丸は「実験科学を計算科学に変え、産業革命を起こすこと」
量子コンピューターにとって2025年は、「次の産業革命」に向けたステップの年:北川拓也インタビュー──特集「THE WORLD IN 2025」
「量子誤り訂正技術」が実現したことにより、真の実用化が近づきつつあるとされる量子コンピューター。理論物理学者、 AI責任者・経営者を経て量子コンピューター業界に飛び込んだ北川拓也による展望はいかに。
量子コンピュータとは、量子力学の原理を利用して情報を処理するコンピュータである。従来のコンピュータがビットを使用して0または1の状態を持つのに対し、量子コンピュータは量子ビット(キュービット)を使い、これが0と1の重ね合わせ状態を持つことができる。このため、量子コンピュータは特定の問題に対して従来のコンピュータよりも桁違いの速度で計算を行うことが可能である。
量子コンピュータは、量子絡み合いと呼ばれる現象も利用することで、複数のキュービットが相互に影響を与え合う状態を作り出す。これにより、並列計算が実現し、膨大な情報を同時に処理する能力が高まる。これらの特性により、量子コンピュータは暗号解読、最適化問題、分子のシミュレーションなどの分野で革新的な解決策を提供する可能性がある。
現在の技術では、量子コンピュータの実用化には多くの課題が残されているが、研究は進み続けており、将来的には「量子誤り訂正技術」の進展により、商業利用が現実のものとなることが期待されている。